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ビンポセチン  2012-09-23
M.D.  M.YOKOYAMA 2012-10-26
ビンポセチン(Vinpocetine)はツルニチソウ由来のアルカロイドであるビンカミンをエチルエステル化し誘導された物質である。ビンポセチンは経口摂取すると、腸管から吸収され、主にアポビンカミン酸に代謝される。この代謝物は空腹時摂取ではバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)が6.7%ほどしかないが、非空腹時摂取時のバイオアベイラビリティーは60~100%以上になる言われており、食事後の摂取が推奨される。[1,2]
消化管から吸収され血中に移行したのち、血液脳関門を通り脳内に到達することが確かめられている。体内での半減期は1、2時間である。

ビンポセチンは古くより認知障害 (脳血管型、アルツハイマー型、混合型いずれのタイプであっても) に対して用いられ、研究によって有効性が実証されている。では、その作用機序はどの程度までわかってきているのであろうか。様々な側面からの研究が行われている。

1) 脳血流の増加
ラットなどを対象にした研究でビンポセチンは持続的および脳選択的に血流増加をもたらすことがわかっている。[3] また脳動脈に硬化の認められる患者に対してビンポセチン15mg(分3、7日間)を摂取してもらったところ、長期持続的な脳血流の増加が認められた。[4] 脳への血流の増加は、ビンポセチンのもつ血小板凝集抑制作用と赤血球の変形能の上昇作用により血液の粘調度を下げることによると考えられている。[5] さらに、ビンポセチンはCa2+カルモジュリン依存性cGMPホスホジエステラーゼを選択的に阻害し、血管内平滑筋の細胞内cGMPレベルに影響を与える。それにより脳内の血管抵抗を減らし、脳内血流を増加させることもわかっている。[6,7,8]

2) 脳代謝の改善
ビンポセチンは犬を対象とした研究で脳での酸素消費量増加作用を有する。[9] またマウスで脳内へのグルコース取り込み能の上昇 [10]、脳虚血を引き起こしたラットで脳内乳酸産生抑制およびATP増加をもたらすこと [11]
も報告されている。これらの結果は、ビンポセチンには脳内エネルギー代謝の改善作用があることを示している。

3) 脳内における抗酸化作用
虚血や低酸素、加齢などの脳をとりまく変化は、ニューロンの機能不全という形で認知機能や記憶力に影響を与える。活性酸素種(ROS)はニューロンへのダメージやニューロンの死滅に重要な役割を演じ、それによって様々なニューロンの機能不全が生じる。ビンポセチンにはROSによる障害に対する神経保護作用が確かめられている。[12]

4) 神経伝達物質の増加作用
ビンポセチンは記憶力に関わる神経伝達物質であるノルアドレナリンやドパミン、アセチルコリン量を増加させる。[13,14,15,16]

ビンポセチンは脳血流増加作用を期待し、脳梗塞を発症した患者に対して用いた研究や、てんかんに対して抗痙攣作用を期待して用いた研究が多く認められるが、上記の作用機序を考えると健常人のanti-agingにも非常に有益な影響をもたらすと考えられる。

容量としては研究ごとに異なるが、おおむね15~60mg/日である。
ビンポセチンは、長期使用をしても重大な副作用は報告されていない。軽度の症状としては頭痛、不眠、交感神経系の過活動、顔面のほてりなどが報告されている。 これらの症状に一部は血流の増加が影響していると考えられ、ビンポセチンの効果の裏付けともとれる症状ではあるが、個々人での量の調節をお勧めする。

おすすめするCHIRON社から発売のサプリメント“CONCENT”に含まれているビンポセチン量は10mg/3Tapsである。これは副作用を最小限に、有効性は最大限に、とCHIRON社にて検討した結果である。しかし人によって効果はまちまちであるため、使用して不眠などの症状が現れた場合には適宜調節をお願いしたい。例えば、朝は3タブレット、夜は2タブレット使用するといった具合である。そうして、自分のあたまを知り、つかいこなしていってはいかがだろうか。

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[1] Lohmann A, Dingler E, Sommer W, Schaffler K, Wober W, Schmidt W. 1992. Bioavailability of vinpocetine and interference of the time of application with food intake. Arzneimittelforschung. 1992 Jul;42(7):914-7.
[2] Miskolczi P, Kozma K, Polgar M, Vereczkey L. 1990. Pharmacokinetics of vinpocetine and its main metabolite apovincaminic acid before and after the chronic oral administration of vinpocetine to humans. Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 1990 Jan-Mar;15(1):1-5.
[3] Suzuki T et al. 1974. The comparison of vasodilator action of vincamine and apovincaminic acid ethyl ester in rats,cats and dogs. 2nd Congress of the Hungarian Pharmacological Society,Budapest,1974
[4]宮崎 学. 1982 虚血性脳虚血性疾患に対するTCV-3B錠の循環作用. 薬理と治療 10:1945, 1982
[5] Kuzuya F et al. 1985. Effect of vinpocetine on blood viscosity and platelet aggregability. Today’s Therapy Trends,1985,1,21-29
[6] Gurkovskaia AV, Gokina NI, Bury? VA, Shuba MF. 1987. Electrophysiological analysis of the action of kavinton on the smooth muscles. Biull Eksp Biol Med. 1987 Jan;103(1):68-71.
[7] Hagiwara M, Endo T, Hidaka H. 1984. Effects of vinpocetine on cyclic nucleotide metabolism in vascular smooth muscle. Biochem Pharmacol. 1984 Feb 1;33(3):453-7.
[8] Truss MC, Uckert S, Stief CG, Forssmann WG, Jonas U. 1996. Cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE) isoenzymes in the human detrusor smooth muscle. II. Effect of various PDE inhibitors on smooth muscle tone and cyclic nucleotide levels in vitro. Urol Res. 1996;24(3):129-34.
[9] 川上倖司,沓澤尚之. 1975. Vincamineおよびapovincaminic acid ethyl esterの脳循環代謝に及ぼす影響の比較検討. 応用薬理 10;1967,1982
[10] 柴生田正樹ほか. 1982. 脳内グルコース取り込みに対するvinpocetineの影響. 日薬理誌 80:221,1982
[11] 垣花満ほか. 1982. 実験的脳虚血に対するvinpocetineの保護作用. 日薬理誌 80:235,1982
[12] Pereira C, Agostinho P, Moreira PI, Duarte AI, Santos MS, Oliveira CR. 2003. Neuroprotection strategies: effect of vinpocetine in vitro oxidative stress models. Acta Med Port. 2003 Nov-Dec;16(6):401-6. Epub 2003 Dec 1.
[13] Milusheva E, Sperlagh B, Kiss B, Szporny L, Pasztor E, Papasova M, Vizi ES. 1990. Inhibitory effect of hypoxic condition on acetylcholine release is partly due to the effect of adenosine released from the tissue. Brain Res Bull. 1990 Mar;24(3):369-73.
[14] Shibuya J, Sato K. 1986. Efect of vinpocetine on experimental brain ischemia, histlogical study of brain monomines.Igaku No Ayumi,1986,139,217-219
[15] Kiss B, Karpati E. 1996. Mechanism of action of vinpocetine. Acta Pharm Hung. 1996 Sep;66(5):213-24.
[16] Miyata N, Yamaura H, Tanaka M, Muramatsu M, Tsuchida K, Okuyama S, Otomo S. 1993. Effects of VA-045, a novel apovincaminic acid derivative, on isolated blood vessels: cerebroarterial selectivity. Life Sci. 1993;52(18):PL181-6.


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